デジタル放送録画に関する新しいルールであるダビング10が2008年6月2日から開始される予定だったが延期された。ダビング10は、HDD/DVDレコーダーなどで録画した地デジのTV番組を、DVDなどにコピー9回+ムーブ1回できるという新ルールのことです。
コピーワンスに比べると規制が緩和されたような印象を受ける。コピーワンスだと1回しかダビングできないのでダビング中にトラブルが発生すると二度と移動できなくなることもありえます。このような場合には非常に有効ですが、普通はHDDに録画しているので、9回ダビング回数が増えても何に使うのか?友達に人気ドラマをダビングしてあげるとかくらいで、ほかに用途がないような気がする。
個人の録画ファンからはユーザーの利益を損ねるという声が上がっているらしい。一体、ダビング10の何が問題なのか?
ダビング10の問題点
最近東芝がHD DVDから撤退したが、HD DVD-Rに録画したテレビ番組をBDにコピーできない。ダビング10に変わってもコピーワンスが10回できるだけで、DVDや次世代DVDに書き出した番組は、別のメディアに移せない。要するに孫コピーができないので、メディアの移行ができないのである。
日本がダビング10にこだわる理由
日本の放送業界のビジネス上の問題と思われる。 他の国と比べると、日本の映像業界はテレビ中心で、広告もほとんどがテレビ。いままで日本の放送業界はテレビの放送は1回だけで、また見たければお金を払ってDVDを購入しろよということらしい。1回テレビで見せておいて見たいという気にさせるわけです。世界中で無料放送にコピー制限をかけているのは日本だけです。
ネット配信に対する各国の対応
米国などではいろいろなチャンネルに露出を増やして、同じコンテンツをメディアを変えて何度も売る。それに加えて目新しいネット配信にいち早く対応して制作会社や放送局の株価を上げて、資金を集めている。
英国の国営放送であるBBCでは過去になぜ放送局を国民の税金で運営しなければいけないのかという議論が何度も出て、繰り返し崩壊の危機にさらされてきた。国営でなければできないような新しいことに取り組まないとつぶされてしまうため、ネット配信も積極的に始めている。
日本だとどうか?ネット配信することにより今のビジネスモデルを守る方が大事だと考えている。ネット配信して今までの放送事業の現状維持ができ、なおかつプラスαの利益が出るならOKだがそれはないから積極的にネット配信しない。電波を使った放送ビジネスもあるし、パッケージを売るためのDVDレーベルも関連会社として持ってるのにどうして既存の利益を手放すのか?ということなのでしょう。
デジタルレコーダーなどにB-CASがついている理由
地デジ対応のテレビやレコーダーには、B-CASカードがついています。デジタル放送は暗号化されていて、その復号のためにB-CASが必要になります。本当はB-CASはBSデジタルの有料化にそなえて導入されたらしい。ところがBSデジタルが始まってもはやらず、対応テレビも売れなかったのでBSデジタルは有料化されず今でも無料の状態が続いています。その開発費を回収するために地上デジタル放送にもB-CASがついて規制をかけているというとんでもない仕組みなのです。